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マフってなに?
イギリスの病院や高齢者施設で使われている「マフ」
イギリスでは、認知症の人が毛糸で編まれたカラフルな筒状のニット製品を使っている姿を見かけます。これらは「Twiddle Muff」といわれ、内側にはリボンやボタンなどのアクセサリーが縫い付けられています。Twiddleとは「(手で)いじる」という意味で、認知症の人がアクセサリーを触わることで安心感が得られるそうです。製作しているのはボランティアグループや編み物が趣味の主婦たちで、手作りで完成させたものを地元の病院や高齢者施設にプレゼントしています。
朝日新聞厚生文化事業団では「認知症マフ」の普及活動を行っています
このTwiddle Muffを「認知症マフ」と名付け、2018年から広島県府中町の認知症サポートグループ「だんだん」(伊東裕子代表)の協力を得てマフ作りを始めました。その後、普及を目指したワークショップを企画して、大阪や広島で開催しました。完成したマフを認知症の人が使って笑顔になってくれることはもちろんですが、同時に製作を通じて地域の人々の新たなつながりが生まれることも目指しています。
マフ作りの
ワークショップを
開催(不定期)
認知症マフ作りを続けている認知症サポートグループ「だんだん」(伊東裕子代表)のメンバーを講師に迎えて、2018年から2019年にかけて3回のワークショップを開催しました。だんだんのメンバーは日本の気候にあった素材選びや、裁縫や編み物が初めての人でも簡単に作れる方法など、実情にあった認知症マフを考案して20個を町内の高齢者施設を利用する人に届けました。
イギリスで出会った
Twiddle Muffのはなし
「認知症の人にやさしい町」
ブラッドフォードでマフのことを知りました
ロンドンから電車で約2時間。イギリス北部の都市ブラッドフォードは2016年に英国アルツハイマー協会から「認知症の人にやさしい町」として表彰された町です。2017年10月に現地を訪問して、実際に町づくりを牽引しているボランティアグループと面会した時、初めて認知症マフのことを教わりました。
オックスフォード大学病院でも
マフが使われていました
イギリスを代表するオックスフォード大学と連携する病院を訪問すると、婦長クラスの看護師さん2人が応対してくれました。2人によると認知症マフは地元の主婦グループが作ってこれまで数千個が病院に届けられたそうです。また、実際に認知症の人に勧めるかどうかは、医師ではなく看護師さんが判断していると話してくれました。
NGO団体にはたくさんのマフが
届いていました
ロンドンに本部を置く「ニット・フォー・ピース(Knit for Peace)」は1970年代に創設され、アフガンや最近ではシリアからの難民など、難民キャンプで暮らす人たちに寒さをしのぐセーターやマフラーを贈る活動を続けています。代表のヒラリー・ブルームさん=写真=はこの活動で、イギリス王室から『ディム』という称号(男性の勲位「サー」にあたる)を授与されました。本部の倉庫には寄贈された多数のマフが山積みになっていて、病院や高齢者施設に届けるために準備が進められていました。